日高旅行記 2
半年振りに日高へやってきた。
訪れた理由は前回の旅がとても楽しく、また行きたくなったからである。
帰りの日高道で夕陽を眺めながら空港へ向かう時に既に決めていたような記憶もある。
この時期を選んだ理由としてはいくつかあるけれど、Hi-MAG1周年の日が重なったことが大きい。
ささやかながら日高を巡ることでお祝いがしたかったのだ。
旅に出る少し前、Hi-MAGプロデューサーの御徒町さんに行くことを伝えるとオススメの場所をいくつか教えてくださり、元々巡ろうと思っていた場所と併せてそこにも立ち寄ることができた。
今回も巡った場所を時系列で綴っていこうと思う。
11月23日(土)
9:15、新千歳空港に到着。この時期の北海道に来るのは初めてである。
気温3度。晴れ。風がとても冷たく、東京では味わえない寒さだ。
レンタカーの手配を済ませて日高へと向かう。
日高道を走ってしばらくすると見えてくる小高い丘と牧場。
北海道に来たなと自然と思える光景のひとつである。
夏前に来た時にはフロントガラスにペシペシぶつかってきた虫が少ない。
新冠に予定よりも早く到着できたので「茶菓いっ風」へ行く。
今回の旅も大まかに行きたいところを決めつつ、フレキシブルに動きたいと考えているから
細かい時間刻みでは動いていない。いっ風は後ほど行こうと思っていたのだ。
噂には聞いていたが、アニメの世界のような出立である。
海と牧場が見える席に座る。奥にある薪ストーブの存在感。長閑な時間が過ぎていく。
静内にある天政へ移動して昼食を摂る。
“新ひだか町産のホエー豚のロースカツ定食”をオーダーする。
せっかくの旅なので地場産の明記があれば頼みたいと思っているのだ。
続いて、再び新冠に向かいレ・コード館へ。
ロビーにあるレコードはプレーヤーで聴くことができ、さらに奥のホールでは自分の選んだ曲を巨大なスピーカーでレコードを堪能できる(こちらは300円)。前回この施設に大変魅了されてしまい、予定よりも長くいてしまったほどである。
今回はニール・ヤング「Heart of Gold」と明日の探訪に向けて森進一「襟裳岬」を聴く。
とてつもなく大きなスピーカーなのに聴き苦しくなく、音のダイナミクスさに改めて惚れ惚れする。
受付の方が前回来てたことを覚えてくださっていた。半年前の僅かな時間訪れただけなのに嬉しい。
旅の思い出になるきっかけはこんなところにある。
今回、旅の中でやりたかったことのひとつに「街の中を散策する」がある。
何かと車移動が続き、便利なのだが、2回目の日高となるとその街の雰囲気をさらに味わいたくなったのだ。
ここでは新冠町の旧新冠駅や海側をしばし歩く。
今は行ってみたい場所やお店がある状態だが、何の目的もなく日高で過ごしてみたいと歩きながらぼんやり思った。
ここから車移動をして、 Hi-MAG記事の「ぶらカフェ」の第1弾として掲載されている「椿サロン」へ向かう。
天気もよく、閉店は日没までということから時間帯的にもせっかくだからと日入りを見届けようと目指す。
しかし、さすがは名店。並んで待つこととなる。幸い、名前を書いたら店内には入れるそう。
40分ほど待った頃であろうか。店内に入れる時が来た。しかもちょうど日没間際であった。
2階に通され、オレンジ&ジンジャーティーとこの時期しか食べられないという季節のパフェをオーダーする。
日没を見届けた後、店員さんが「下の席が空いたのでどうぞ」と案内してくれた。
このお店は日没に閉店してしまう為、客席には照明がない。
日没後、少しずつ暗くなる店内で過ごすのも悪くなかった。
波も終始穏やかで時間の流れがとても優しいカフェだった。
冷えた身体を温めるべく、新冠温泉へと向かう。
夜の中で浸かる露天風呂は格別である。
ポカポカになって向かう先は静内「SPICE TIGER」である。
スープカレーはもちろんのこと、一品料理も美味しくてすぐお腹いっぱいになってしまう。
店主の大貴さんにも会えてよかった。顔を覚えてくれていたのが嬉しい。
明日は早朝から襟裳岬を目指す為、早々と就寝。
11月24日(土)
5:30起床。
日の出と共に車を走らせる。目指すは朝日の昇る方角となる。
前回の旅は三石の道の駅までだったので、そこから先は未知の旅だ。
浦河を越えた辺りから信号が急激に少なくなったことに驚いた。
8:20頃、襟裳岬に到着。風がとても強い。そして寒い。
風が瞬間的に止む時にふと温かさを感じるほどだ。
しかし、天気には恵まれ、景観が大変美しい。
遠くまで歩いて行けそうな道も続いていたのだが何しろ風が強くて断念せざるを得なかった。
つい行ってみたくなる景色が広がっていた。
岬に到着した際に遭遇したキツネや空を飛ぶ渡鳥の群れ。
上に書いたような景観と共にここでしか得られないようなひとときであった。
ここでは襟裳岬の歴史を知れたり、岬に吹く強風を体験できるコーナーもある風の館に行く。
どうやらアザラシも見られるようなのだが、高波の影響でここ最近は見られないらしい。残念。
百人浜を抜け、山側の道を経由して静内方面へ戻る。
えりも町は今回行けなかったエリアもあるのでいつか訪れてみたい。
静内に戻りドライブインあさり浜にて磯ラーメンを食べる。
海の幸の出汁をしっかりと感じ、具にもふんだんに使われていて美味しい一品だった。
その後、静内温泉に立ち寄り、身体をさらに温める。
さらに移動して新冠の道の駅では「にいかっぷピーマンソフト」を食べる。
不思議な組み合わせではあるが、口の中にピーマンの味が広がるも、ソフトクリームとして美味しかった。
ここでは最近発売された「ヒダカミビール」も購入する。
昨日に続いて、今日は静内の街を歩く。
短い時間ではあるが、少しだけその街のことを知れたような気持ちにもなる。
次回はもう少し歩いてみたいと思った。
そのまま歩いてカフェ「syzygy cafe」を目指す。
こちらでは新冠のホロシリ牛乳を使ったプリンをコーヒーと共にいただく。
ギターが飾られたウッディでいい雰囲気のお店である。
お店を出た後、来た道とは別のルートで歩き夕飯を食べに行く。
まずは「赤ひげ」へ。
大抵一軒目で食べて飲んでホテルに戻って寝るというのがありがちなのだが、
今回の旅ではもう一軒行く、いわゆるはしご酒をやってみたかった。
こちらでは一品料理を食べながらお酒をいただく。日曜日ということもあるせいか店内は賑わっていた。
ランチのメニューも充実しているようなのでいつかまた行ってみたい。
2軒目は「SPICE TIGER」である。
昨日はスープカレーを中心に食べたり飲んだりしたので、その他のメニューで楽しむ。
樽で「ヒダカミビール」が飲めるということなので、缶で購入していたが飲んでみることにした。
苦味がしっかりありながらもスッキリ飲めて美味しかった。
早いもので2日目が終わっていく。
長く起きて日高の夜をしみじみ感じたいと思うが、明日は早起きして朝風呂も行きたいし、運転をして空港へ向かわなくてはならない。この名残惜しさはまた次回の旅行への楽しみにしたいと思う。
11月25日(月)
6:00起床。支度をして新冠温泉の朝風呂を目指す。
朝から温泉に入れる幸せ。
露天風呂は初日に入った時は夜だったので見えなかったが海まで見渡せるのはやはりいい。
帰りしな、ホロシリ牛乳を購入。
クリームのような甘さをほのかに感じる美味しさだった。
いずれホロシリ牧場での乗馬体験もしてみたい。
ホテルをチェックアウトする。
今日は平取を経由して空港へ向かう予定だ。
まずは春になると桜が咲き誇る二十間道路を走り、農暮舎というカフェに向かう。
オープンの少し前に着き、お店の近くの牧場の辺りを歩いてみる。
遠くの川の音、木々を揺らす風の音、、、自然の音しかない。ここにずっといたいと思える感覚になる。
農暮舎に入る。こちらはHi-MAG記事の「ぶらカフェ」の第2弾で紹介されているお店である。
スパイスカレーとコーヒーでランチを摂る。
窓の向こうでは放し飼いされている鶏、ヤギのユキちゃんの戯れを見ながら、優しく流れていく時を楽しんでいた。
名残惜しいがお店を後にして、平取へ向かう。
今回の旅の最終目的地である。
チセ(アイヌの人々の伝統的な住居)を見て回りながら沙流川へ。
その後、関根真紀さんのお店「katak×bee」を訪れ、taitoさんや真紀さんとお話をさせていただく。
平取温泉にて日高旅の締めとして温泉に入り、空港へと向かう。
あっという間に3日間が過ぎていった。
前回訪れた時よりもさらに自然が溢れる場所に多く足を運べたような気がする。
そのどれもがいつまでもいたい場所であった。
実は旅をしながら「オールひだか巡ってウマい!スタンプラリー」もやってみた。
全てのスポットを巡ることは出来なかったが、ひだかエリア7町全てに行くことができた。
新冠や静内だけでなく、日高の街並みをスタンプラリーをしながら歩いて感じられて本当によかった。
また少し日高のことを知れたような心持ちである。さらに1町1町をより深く訪れてみたい気持ちも強まった。
半年の間に北海道を2回訪れることは自分としては初めてのことだった。
「しばらくはいいかな」などとは思わず、またすぐにでも行きたいくらいである。
そのくらい余韻が強く残っている。
短い時間ではあるが、こうしていい時間を過ごせる旅。
それをまた近い未来に実現できるよう日々を過ごしていきたい。