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こんな田舎に3Dプリント建築が!?後編

前編を読んで下さった方、ありがとうございます。そして、後編へようこそ。

前編を読んでいない方はコチラから https://www.hi-mag.jp/articles/137/

そうして敷地の姿が見えはじめ、P とディマシオ美術館 館長から全体のイメージをヒアリング。測量をかけ、敷地図と照らし合わせながら私がイメージ図を作成していく事になります。

こちらが第1段階のイメージ図、サークル型のキャンプエリアと3Dプリントのグランピングエリアが混在し、どこからでもセンターのシンボルツリーが見え、美術館と周辺キャンパーの気配を感じられて、高低差を活かして周辺との目線の配慮や排水計画も盛り込み、1サイトあたりの㎡数バランスも良い安定感のあるデザインを作成しました。

がしかし、美術館理事長 の「サークルは嫌やなぁ…」の一言であえなく廃案。ほぼ白紙状態に戻り、気持ちを切り替えて、当初とは違う雰囲気で第2段階のイメージ図を作成。(他にも「池」や「風車小屋」「ドラゴンの遊具」を作りたいなどのご意見も飛び交いましたが 割愛)こちらの第2段階イメージ図も P の「管理が大変そう」という、ごもっともな意見でまたまた廃案となりました。(個人的にはナメック星とゴルフ場を合わせたイメージで結構気に入っていた)この辺りから実現可能性度の高い方向に意識をシフトチェンジ。

第3段階のイメージ図。敷地裏手だったはずのキャンプ場から打って変わって美術館の前面にグランピングエリアが移動し、キャンプエリアはさらに裏手の奥に移動。(大型駐車場や大きな池などのイメージ図も数枚書きましたが割愛)このイメージでまずはグランピング施設から着手する事となりました。

敷地のイメージ図だけではなく、初期段階から同時進行で會澤高圧コンクリート札幌支社(以後 AIZAWA)の研究開発室にてコンクリート3Dプリント(C3DP)で作るグランピング棟のデザイン・コンセプト案について担当職員(東)や職員の皆さんと会議を重ね。

美術館理事長 からの「宇宙・自然との融合」という言伝の元に様々なデザインとコンセプト案を作成し、AIZAWAと共にディマシオ美術館に提案。(他にも多数のデザイン案がありましたが 割愛)その中から選び抜かれた3棟が実際に建設される事となりました。

C3DP製のグランピングテント単体だけではなく、プライバシーが保たれ、シャワー・トイレのサニタリー棟とBBQが楽しめるアウトドアリビングが一体となったグランピングサイトとして計画は進んでいきます。

その間、AIZAWAでは3DCADを使用した3D図面データを作成。ロボットアームの可動限界範囲を考慮しプリントする壁を5~6枚に分割し組み合わせた図面。(このデータをGコードに変換しロボットアームに「どの様に動くか」という指令を出して実際にプリントしていきます)

他にも「宿泊者が集まって交流が持てる建物があるといいね」という会話の中で描いた共有スペース棟案などもありました。

今となっては恐らく関係者一同 誰の記憶にも残っていないと思いますので。ここに残しておきます。

という事で、ここまでが「美術館の敷地内に3Dプリント建築が出来る事となった経緯」です。この続きは、「実際の現場はどの様に施工されたのか」という現場目線でお話ししていこうと思います。